時折見かける光景ですが、腰が痛くて椅子に座ることができず、立ったままお話をする方がいらっしゃいます。
特に多いのが、
というケースです。
実は、椅子から立ち上がる動作は、スクワットと非常によく似ています。スクワットでは、大殿筋、大腿四頭筋、ハムストリングス、ヒラメ筋、腓腹筋など、下半身の多くの筋肉を使います。そして椅子から立ち上がるときにも、同じようにこれらの筋肉が働きます。
なので、スクワットが少し不安…という方は、椅子に座って立つ!」という運動から始めてもOKですよ。
重要なのが、立ち上がるときの身体の使い方です。
椅子から立つためには、まず重心を前方へ移動させる必要があります。そのため、頭や上半身を前方へ移動させ、股関節や膝を伸ばしながら身体を起こしていきます。
このときハムストリングスの緊張が強いと、ハムストリングスと連続する仙結節靭帯を介して、仙骨の動きにも影響を与えます。
さらに、ハムストリングスから仙結節靭帯、脊柱起立筋へとつながる筋膜の連鎖を考えると、骨盤周囲だけではなく腰部の筋緊張にも影響する可能性があります。
つまり、
椅子から立ち上がるという単純な動作でも、腰や骨盤にはかなり複雑な力が加わっている
ということです。腰痛がないときには、これらの動きはほとんど気になりません。だって健康だもの。
ところが、すでに腰部や骨盤周囲に痛みや筋緊張、関節の動きの制限などがある場合には、普段なら何ともない「立ち上がる」という動作が、痛みを誘発する動作になってしまいます。
では、腰が痛いときはどうやって立ち上がればいいのでしょう?
腰が痛いときの立ち上がり方
ポイントは、いきなり腰を伸ばして立とうとしないことです。
まず椅子に浅めに座り、足を少し後ろに引きます。
そして、胸を無理に起こそうとせず、上半身を軽く前に倒します。
このとき、
「腰を曲げる」というより「股関節から前に倒れる」
ようなイメージです。
重心が足の上に移ったら、手を使える場合は椅子の肘掛けや太ももなどを軽く支えながら、脚の力で立ち上がります。
立ち上がる瞬間に腰を反らして勢いをつけるのではなく、
「足で床を押して立つ」
ことを意識してみてください。
これだけでも腰だけに頼って立ち上がることを防ぎやすくなります。
ただし、立ち上がり方を変えても強い痛みが出る場合は、無理に繰り返さないようにしてください。
腰痛というと、重い物を持ったり、無理な姿勢をしたりしたときに起こるものだと思われがちです。
しかし実際には、椅子から立ち上がる、ベッドから起き上がる、靴下を履くといった、普段は意識することすらない動作が痛みの引き金になることもあります。
腰痛になったことがある人でなければ分からないかもしれませんが、
「いつも普通にできていたことが、痛くてできない」
というのは、かなりつらいものです。だからこそ腰痛を改善するときには、単に「腰が痛いから腰を揉む」というだけではなく、
どの動作で痛みが出るのか、どこに負担が集中しているのか、身体がどう動いているのか。
そこまで確認することが大切だと考えています。