エーパシが入っている建物は、築何年なのか正確には分かりません。
ただ、私が小学生のころからすでにあった建物らしいので、軽く40年は超えていると思います。
当時の建物のトイレといえば、ほとんどが和式。
エーパシがこの場所を借りるときに、和式トイレから洋式トイレへと変更しました。今では当たり前の洋式トイレですが、これは単にトイレが変わったという話ではありません。
日本人の生活様式そのものが、少しずつ変わってきたということでもあります。
昔の日本の家には畳の部屋が多く、床に座布団を敷いて正座することも普通でした。食事もテーブルとイスではなく、ちゃぶ台を囲んで床に座る。うちの実家もお正月に集合するときは和室でこたつに入っています。
トイレも和式。
そんな生活から、今ではテーブルとイス、ベッド、洋式トイレという生活へと大きく変わりました。
では、こうした生活様式の変化は、私たちの身体にも何か影響しているのでしょうか?私はここ数年、身体をみるときに意識して触る場所があります。
それが「足首」です。
下半身に何らかのトラブルを抱えている方をみていると、足関節の動きが狭くなっている人が意外と多いと感じるからです。
これはあくまで私個人の臨床上の感覚にすぎません。ただ、特に気になるのが、私たち高齢者よりも、30代・40代くらいの比較的若い世代でも足首が硬い人が少なくないこと。
私よりもずっと若いのに、下半身にトラブルがある。
そこで足首の動きを確認してみると、「思ったより動かない」ということがあります。
もちろん、足首が硬いからすべての問題が起こる、という単純な話ではありません。
それでも、足首は身体を支えるうえで重要な関節です。歩いたり走ったりするとき、足の裏のアーチとともに、地面から受ける衝撃をうまく受け止め、身体へ伝わる負担を調整する役割があります。
そのため、足首の動きが必要以上に制限されていると、その影響が膝や股関節、さらには腰など、上の関節に現れることも考えられます。
ただし、ここで大切なのは、
「関節は柔らかければ柔らかいほど良い」
というわけではないということです。関節の硬さが必ずしも「悪」ではありません。
例えば、強い力を発揮するときには、関節が安定していることも重要です。
体操やフィギュアスケートなど、柔軟性が求められる競技では大きな可動域が必要になりますが、逆にその柔軟性の大きさが身体の負担につながることもあります。
一方で、短距離走やサッカー、野球など、瞬間的に大きな力を発揮する競技では、単純に「柔らかければいい」というわけではありません。
競技によって必要とされる身体の使い方が違うように、関節の可動域にも、それぞれに適した状態があるわけです。
そして、ここで少し面白いことがあります。
国が変われば、生活様式も変わります。
日本では当たり前だった正座や和式トイレですが、世界的に見ると、こうした生活習慣は決して一般的なものではありません。昔の日本人は、日常生活の中でしゃがむ、正座する、床から立ち上がるといった動作を今より多く行っていました。
それが現在では、イスに座る、ベッドで寝る、洋式トイレを使う。
生活の中で身体を動かす方法そのものが変わっています。
もちろん、これだけで「昔の日本人は足首が柔らかく、現代人は硬い」と断定することはできません。
食生活や運動習慣、靴、住環境など、身体に影響するものは他にもたくさんあります。ただ、日本人の体格が昔と比べて大きくなり、食生活も大きく変わったように、生活様式そのものも大きく変化しています。
もしかすると、こうした変化の積み重ねが、現代人の身体の使い方にも多少関係しているのかもしれません。
だから私は、下半身のトラブルをみるときに「足首」を確認するようにしています。
痛いところだけを見るのではなく、「その身体が、普段どんな使われ方をしているのか?」
そこまで考えていくと、身体を見る視点が少し変わってくるからです。
もし最近、
「膝や股関節が気になる」
「歩くと足が疲れやすい」
「しゃがむのが苦手になった」
そんなことを感じているなら、一度ご自身の足首がどのくらい動くのか、確認してみてもいいかもしれません。