関節には、「自分の力で動かせる範囲」と「外から力を加えると動く範囲」の2つがあるのをご存じでしょうか?
例えば膝。
立って曲げるとあるところで止まりますが、正座して体重を乗せると、そこからさらに曲がります。
指も、自力で反らすより、もう片方の手でそっと押した方が反りますよね。
この 外力で生まれる余白の動き が、関節の “あそび” です。
実はこの“あそび”、ケガの衝撃を吸収するクッションとしても働いてくれています。
あそびが良くも悪くも作用する
ただし、筋肉や靭帯のバランスが崩れると、この“あそび”が悪い方向に作用します。
関節の位置関係(アライメント)が乱れ、骨同士の並びがズレた状態になることがあるんです。
そうなると、
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動かすと痛い
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動く範囲が狭くなる
といった不調が起こりやすくなります。
■ 院長のちょっとした経験談
私がまだ修業時代の頃、
「可動域を広げればいい」と思って、ただただ動かせる方向に関節を動かしていた時期がありました。
でも、それで一時的に動いても、数日後にまた戻ってしまう…。
ある先輩に言われたひと言が今でも忘れられません。
「動くようにする前に、“なぜ動かないか”を見ないと、根本は変わらないよ」
そこから私は“アライメントを整えること”や、
筋肉・靭帯・関節のそれぞれの役割を学び直しました。
可動域だけではなく、正しく動ける状態 に導くことの大切さを痛感した瞬間でした。
手技療法は常に進化している
この関節の可動域制限をどう改善するか。
手技療法の世界では、昔から様々なアプローチが生まれてきました。
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骨を素早く調整する スラストテクニック
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筋肉の緊張を解いて整えるアプローチ
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関節の細やかな“関節内運動”に注目した手法 など
どれが正解というより、どんな症状に何が合うか が重要です。
術者に求められるのは「引き出し」と「見極め力」
有効な技法は、ケースによって違います。
だからこそ必要なのは、
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技術の引き出しを多く持つこと
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症状の本質を見極める力
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技術の可能性と限界を理解しておくこと
学んで感心して終わりでは意味がありません。
取り入れて、自分のものにして、活かしてこそ価値になります。
これからもアップデートを続けて
世の中には本当に、面白い視点や技術を生み出す方がたくさんいます。
私自身、今でも「なるほど!」と思うことばかりです。
ですが、ぼーっと眺めているだけでは進歩しません。
学びを自分の施術に落とし込み、引き出しを増やし、患者さんに還元していく。
その積み重ねが、施術家としての成長だと感じています。