先日、職場の人が肩が凝りすぎて肘でゴリゴリ押されているのを見ています…と聞いて、押す方も大変だなと気の毒に思った井上です。
僕もこの業界に入ったときには「強押しこそ正義」と思い込み、箸が持てなくなるまで酷使した経験があります。そのおかげか今は全く疲れなくなりました笑。
肩こりの理由は色々あるんですが、”メカニズム”いわゆる”仕組み”についてお話です。これを知っておけば闇雲に硬いところを強く押せばいい、と思わなくなります。
ご覧の通り上腕骨(腕の骨)は肩甲骨に付いています。肩甲骨は上下左右に前後とかなり自由度が高いので、それにくっ付いている腕も色んな角度に動きます。
これは上から見た図です。(上が背中で下が正面)わかりにくいですが、肩甲骨が腕の他に関節を作っているのは鎖骨だけです。そして鎖骨は身体の中央である胸骨と関節しています。
ということで、肩甲骨は腕の骨と鎖骨としか繋がっていないので、骨格だけ見れば体の端からぶら下がっている状態なわけです。それにも関わらず肩甲骨がずり落ちてこないのは各方向から付着する筋肉がそれぞれの張力でバランスをとりながら肩甲骨の位置をキープしているからです。
ですが、運動不足、姿勢不良、疲労、老化などで肩甲骨に付着する多くの筋肉の張力のバランスが崩れた際に肩甲骨の位置は変わってしまいます。大抵は外&前にスライドしていきます。簡単にいうと猫背や巻き肩のような姿勢になってしまいます。
そうなると肩甲骨~背骨間をつないでいる筋肉たちが大変です。めちゃくちゃ引っ張られています。肩甲挙筋・菱形筋・僧帽筋などがその代表的な筋肉です。
無理矢理引っ張られるので受動的に緊張状態(引っ張られたゴムを想像してみてください)になるので血液循環が悪くなり「コリ」が発生するのです。肩こりの際に胸を張ったり、腕を上に伸ばしたりすると楽になるのは伸びている筋肉を収縮させたい体からの渇望なわけです。
もちろん、他にも色々あるんですが、肩こりのメカニズムはこんなもんです。
ですから、肩がこっているから「肩甲骨の内側」や「肩から首かけてのライン」をゴリ押しすることはよくありません。むしろ押せば押すほど悪化していくことがほとんどでしょう。
押すならば強く押さないと効かないところ、ではなく、
優しく押さないと痛くて悶絶するところを押してくださいね。