ひと昔前までは
「アスリートは過度な筋トレをするとパフォーマンスが落ちる」そんなことがよく言われていました。
先日引退を発表した元ロッテの沢村投手も、筋トレを積極的に行っていた選手の一人です。バックスクワットで250kg挙げていたので相当なバケモノです。しかし野球の成績が落ちると、筋トレを理由に否定的な発言をする解説者も少なくなかったように記憶しています。
一方で、メジャーリーグで活躍しているダルビッシュ有投手は
「筋トレが悪いのなら、メジャーの選手は全員ダメということになる」
と反論されていました。
問題は「筋トレ」ではなく「使い方」
最近の研究では、筋トレそのものが悪いのではなく筋肉をうまく使いこなせていないことに問題があるという考え方が主流になってきています。
東大名誉教授の石井直方先生は、
「脳(中枢神経)が筋肉の中の筋線維を同調させて活動できるかに問題点がある」
と指摘されています。
少し難しい表現ですが、イメージするとこうです。
どれだけ高性能なF1マシンを作っても、ドライバーがスロットルを一気に踏み込む技術を持っていなければ、大きな加速は生まれません。
筋肉も同じで、エンジン(筋力)が強くなっても、それを一気に動員する操作能力(神経の働き)が弱ければ本来のパワーは発揮できないのです。
F1マシンと違って自分の身体なのだから…と思うかもしれませんが自分の思うがままに身体を操るのは難しいものです。
パワーは「鍛える」だけでは足りない
普通に考えれば、筋トレでパワーアップしなければ強さも速さも手に入りません。
しかし、そのパワーを「瞬時に」「正確に」「連動させて」使えなければ競技パフォーマンスにはつながらないということになります。この辺は技術になりますね。
つまり、
筋肉を鍛えること(フィジカル)
+
筋肉を操る能力を高めること(テクニック)
この両方がそろって初めて、本当の意味でのパワーになるのです。今までの日本ではテクニック部分に特化していたのですが、最近は変わってきています。
今の選手が強い理由
最近のトップ選手のトレーニングを見ていると、むやみやたらに筋トレをしているだけではなく、身体の連動性や神経の使い方を意識した練習を多く取り入れています。
速い球を投げられるのも、強い打球を飛ばせるのも
過去の問題点がさまざまな角度から研究され、改善方法が積み重ねられてきた結果なのだと思います。
筋トレは悪者ではありません。
大切なのは「どう鍛え、どう使うか」。
身体づくりの考え方も、時代とともに進化し続けています。
